勢岩寺の機織地蔵

山号は谷汲山で曹洞宗、本尊は不動明王です。浜当目の弘徳院の末寺で、寛永2年(1625)に創立されました。以前、このお寺には木喰五行上人作の弘法大師像が安置されていました。また、境内には機織地蔵や市内で確認されているものではもっとも古い庚申塔もあります。 境内のある山は谷山古墳群という古墳時代後期の群集墳の範囲でもあります。以前行われた法面工事に伴う発掘調査では、8世紀初頭前後の造営と推定される横穴式石室が確認されています。


弘法大師の甥の智証大師円珍が勢岩寺の本尊である不動明王像を彫って石脇を訪れた時、金色の光を放って迎えたといいます。 このお地蔵さまはどんな願い事でも、機を織る糸のように、繰り返して頼めば必ずご利益があるといわれています。また、胎内には仏像が納められており、子授け安産の守り地蔵としても信仰を集めています。 *脇に彫られている御詠歌「はたおりの 石の石脇たずねきていとくりかえし頼む 御菩薩」


また、勢岩寺にある庚申塔は市内最古で、貞享2年(1685)9月の建立されたものです。庚申信仰は中国の道教から始まり、15世紀ころに仏教と結びついたと されます。人間の体内にいる三戸という虫が、60日ごとに巡ってくる庚申の日の夜、人が寝ているうちに天帝にその人の悪事を報告しに行くといわれており、この虫に告げ口をさせないため、夜通し眠らないで猿田彦や青面金剛を祀る風習です。勢岩寺の庚申塔には「見ざる、言わざる、聞かざる」の三猿が彫られています。